
この記事は、TOEICの発音について、日本でTOEIC Programを実施・運営するIIBC(国際ビジネスコミュニケーション協会)と、テストを開発・制作するETSの公式資料だけを使って書いています。
中心にしたのは、IIBCのTOEIC Program Q&A「TOEIC L&Rのリスニングで複数のアクセントが使われているのはなぜですか?」です。
公式に無いことは、無いとそのまま書きます。
【結論】TOEIC発音は4地域のアクセント
米・英・加・豪の4地域です。
IIBCのQ&Aは、TOEIC L&Rのリスニングが米国・英国・カナダ・オーストラリアおよびニュージーランドの4地域のアクセントを採用していると答えています。
オーストラリアとニュージーランドは、まとめて1つの地域という扱いです。
4地域は、世界中の英語学習コミュニティで最も一般的に使われ、教えられているアクセントという位置づけになります。
| IIBC・ETSの資料 | 挙げられている地域 |
|---|---|
| TOEIC Program Q&A(2026年7月号) | 米国・英国・カナダ・オーストラリアおよびニュージーランド |
| IIBC NEWSLETTER 300回記念特別企画 | アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド |
| IIBC 企業・団体の主なTOEIC Program活用目的 | 米国・英国・カナダ・オーストラリア(ニュージーランドを含む) |
| IIBC『公式TOEIC L&R Part 3 & 4 音声速解』の案内 | アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリアの4カ国の話者 |
| ETSの研究資料(TOEIC Compendium) | United States, Great Britain, Canada, Australia |
表は公式資料の記述から当サイトで作成しました。
どの資料も、挙げている国の顔ぶれは変わりません。
国ごとの出題の割合は、公式には載っていません。
割合を数字で示した公式資料は無いので、この記事でも割合は書かずに進めます。
TOEIC発音を聞くのはリスニングのPart1〜4
4地域のアクセントが出てくるのは、L&Rのリスニングセクションです。
リスニングは約45分間・100問で、Part1からPart4に分かれています。
| Part | 問題の名前 | 問題数 | 放送のされ方 |
|---|---|---|---|
| Part1 | 写真描写問題 | 6問 | 写真の4つの短い説明文が1度だけ放送 |
| Part2 | 応答問題 | 25問 | 質問と3つの答えが1度だけ放送 |
| Part3 | 会話問題 | 39問 | 2人または3人の会話が1度だけ放送 |
| Part4 | 説明文問題 | 30問 | アナウンスなどのミニトークが1度だけ放送 |
表はIIBCの「テストの形式と構成」のページから当サイトで作成しました。
どのPartも放送は1度だけです。
放送される説明文・会話・トークは、どのPartも問題用紙に印刷されていません。
L&Rは英文だけで作られていて、英文和訳や和文英訳の設問は出ません。
IIBCは『公式TOEIC Listening & Reading Part 3 & 4 音声速解』の案内で、Part 3とPart 4にはアメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリアの4カ国の話者が登場すると紹介しています。
Part 3は2人または3人による会話で、1つの会話は3〜6つ程度の発言からなるという説明も添えてあります。
リスニングセクション全体の時間と問題数は、TOEICのリスニングは約45分・100問にまとめました。↓
TOEIC発音が4地域になったのは2006年
いまの4地域のアクセントは、最初からあった形ではありません。
ETSの研究資料は、改訂前のTOEICのリスニングには標準的なアメリカのアクセントしか入っていなかったと述べています。
改訂版のTOEIC L&Rは、2006年5月の第122回公開テストから始まりました。
このとき、イギリス・カナダ・オーストラリア・ニュージーランドの発音も採用されました。
| 年 | IIBCが挙げているできごと |
|---|---|
| 1979年 | 第1回の公開テストを12月2日に実施 |
| 2004年 | 世界11カ国の機関・企業の協力でサーベイを実施 |
| 2006年 | 5月の第122回公開テストから改訂版。リスニングの発音を4地域に広げる |
| 2016年 | 再び改訂。3人以上の登場人物による会話などを新設 |
| 2022年 | 8月21日の公開テストで第300回 |
表はIIBC NEWSLETTERの300回記念特別企画から当サイトで作成しました。
IIBCは、当時ビジネスのグローバル化とともに多様な英語に触れる機会が増えていたことに対応した変更だとしています。
同じ改訂で、会話問題や説明文問題には従来より長めの文章が入るようになりました。
2004年のサーベイは、働く場で必要とされる英語能力を確かめるために行われたものです。
TOEIC発音を4地域にしている理由
IIBCのQ&Aは、複数のアクセントを使う理由を2つにまとめて答えています。
- 英語の学習背景によって有利・不利が生じないようにするため
- テストの内容を、より現実世界の状況に近づけるため
世界の英語には穏やかなものから強いものまで多様なアクセントがある、というのがQ&Aの前提です。
強いアクセントには特有の性質があり、ネイティブスピーカーでも理解が難しく感じることがある、とも添えています。
聞き分けの判定が目的ではない
テストで使うのは、職場や日常で触れる可能性がある、一般的に理解しやすいアクセントです。
ETSの研究資料も、TOEICは国際的な英語のテストで、受験者はさまざまな英語の話し手とやり取りすることになるだろう、という考えからアクセントを広げたと述べています。
どの国の英語かを答えさせる問題は、IIBCが示すPart1からPart7の出題形式のどこにも出てきません。
TOEIC発音の国ごとの割合は公式に無い
IIBCとETSの資料を見ても、国ごとの出題の割合は公式には載っていません。
Partごとにどの国の話者が何人出るか、という内訳も示されていないのが実情です。
公式で分かるのは4地域という事実までと考えておくと、話がぶれません。
ほかで見かける割合の数字は、公式が発表したものではないということになります。
ETSが改訂のときに行った試作段階の調査では、次の4人の声が使われました。
- アメリカの女性
- イギリスの女性
- カナダの男性
- オーストラリアの男性
これは改訂前の調査での組み合わせで、いまの本番の割合を示すものではありません。
同じ調査では、多くの受験者にとって複数のアクセントは問題にならなかったと報告されています。
一部の低いレベルの受験者はいずれかのアクセントを聞き取りにくく感じたものの、アクセントは難しさを決める要素の1つにすぎなかったという結果でした。
TOEIC発音と特定の国に寄せない出題
発音の幅を広げた一方で、出題の中身は特定の国に寄せない作りになっています。
IIBCは、公平性の観点から、特定の国や地域独自の言い回しや、特定の文化的背景への理解が要る問題は出さないとしています。
発音は4地域、言い回しは特定の国に寄せないという2つの線引きです。
TOEIC S&Wも同じ考え方で、特定の国の歴史や文化に関連する固有の事象が分からなければ答えられない問題は含まれません。
特殊なビジネス英語や、特定の業界・分野の知識が要る問題も入っていないとIIBCは案内しています。
聞き取るときに困るのは音の違いで、知識の違いではない、という設計だと読めます。
TOEIC発音に慣れる公式の学習法
IIBCは、公式教材の案内の中で発音への慣れ方にも触れています。
| 公式の教材 | 発音についての中身 |
|---|---|
| TOEIC Listening & Reading 公式ボキャブラリーブック | 英単語をアメリカ英語とイギリス英語の両方で収録 |
| 公式TOEIC Listening & Reading Part 3 & 4 音声速解 | 英語の音の聞こえ方のパターンを覚え、国による発音の違いに慣れる |
| 同じく音声速解の実践テスト | Part 3とPart 4の問題を計69問にしたセットを2セット収録 |
表はIIBCの公式ページから当サイトで作成しました。
ボキャブラリーブックの学習法のページは、アメリカ英語の音を聞いてまねて発音し、イギリス英語も聞いて分かるよう耳に覚えさせる練習をすすめています。
多くの人はアメリカ英語で英語を学んでいる、という前置きがついた案内です。
話す練習はアメリカ英語、聞く練習は両方という分け方になります。
音声速解は、IIBCが2024年12月5日に出した、Part 3とPart 4に絞ったパート別の公式問題集です。
音声はダウンロードで聞く形で、音声CDは付いていません。
公式教材の全体は、TOEIC公式教材は公式サイトに32点あるにまとめました。↓
TOEIC発音はS&Wの採点に入る
TOEIC S&Wでは、発音そのものが採点の対象になります。
Speaking Testは計11問・約20分で、5種類の問題があります。
| 問題 | 問題数 | 評価基準 | 採点スケール |
|---|---|---|---|
| 音読問題 | 2問 | 発音、イントネーション・アクセント | 0〜3 |
| 写真描写問題 | 2問 | 上記に加えて文法・語彙・一貫性 | 0〜3 |
| 応答問題 | 3問 | 上記に加えて内容の妥当性・完成度 | 0〜3 |
| 提示された情報に基づく応答問題 | 3問 | 上記の事柄すべて | 0〜3 |
| 意見を述べる問題 | 1問 | 上記の事柄すべて | 0〜5 |
表はIIBCのTOEIC S&Wの「テストの形式と構成」のページから当サイトで作成しました。
発音は11問すべての基準
音読問題は、アナウンスや広告などの短い英文を各問45秒で読み上げる問題で、準備時間も各45秒あります。
写真描写問題から先は、発音とイントネーション・アクセントの上に文法や語彙などが積み重なる形です。
IIBCはSpeaking Testが問う力の1つ目に、英語のネイティブスピーカーや英語に堪能なノンネイティブスピーカーに理解しやすい言葉で話せることを挙げました。
ネイティブと同じ発音かどうかではなく、相手に理解しやすいかが軸です。
IIBCの企業・団体向けのページは、発音が流暢でなく多少の文法ミスがあっても、意思疎通に問題がなければ採点スケールに大きく影響しないとしています。
同じページによると、受験者ごとにSpeaking・Writingそれぞれ最低3人の採点者が振り分けられ、TOEIC S&Wでは平均して10人が採点します。
S&Wの採点の流れは、TOEIC SWの採点はどう行われるかにまとめました。↓
TOEIC発音は公式認定証に3段階で載る
TOEIC Speakingの公式認定証には、スコアとは別に発音の評価が載ります。
| 項目 | TOEIC Speaking | TOEIC Writing |
|---|---|---|
| スコア | 0点〜200点(10点刻み) | 0点〜200点(10点刻み) |
| スコアレンジ別評価 | 8段階 | 9段階 |
| Pronunciation(発音) | HIGH・MEDIUM・LOW | なし |
| Intonation(イントネーション)とStress(アクセント) | HIGH・MEDIUM・LOW | なし |
表はIIBCのTOEIC S&Wのテスト結果のページから当サイトで作成しました。
発音は3段階で返ってきます。
3段階の中身は、ETSのScore User Guideに、音読のときの聞き取りやすさとして示されています。
| 段階 | Pronunciation(発音) | Intonation and Stress |
|---|---|---|
| HIGH | 音読の発音がとても聞き取りやすい | 強調・間・音の上げ下げをとてもうまく使えている |
| MEDIUM | 多少の乱れはあるが、おおむね聞き取りやすい | おおむねうまく使えている |
| LOW | おおむね聞き取りにくい | おおむねうまく使えていない |
表はETSの英文を当サイトで訳して作成しました。
Intonation and Stressは、強調・間・音の上げ下げを使って聞き手に意味を伝える力のことだとETSは定めています。
どちらの評価も、音読のときの発音を見たものという点が大切です。
ETSのガイドは、160〜180のスコア帯について、自分で言葉を組み立てるときに発音やイントネーションで小さなつまずきが出ることがあると述べています。
80〜100のスコア帯になると、発音・アクセント・イントネーションのつまずきが続くという書き方に変わりました。
TOEIC発音についてよくある質問
どの国の発音がいちばん多いのか
国ごとの割合は、公式には載っていません。
公式に分かるのは、米国・英国・カナダ・オーストラリアおよびニュージーランドの4地域が使われていることまでです。
割合の数字は公式発表ではないと考えてください。
アクセントの聞き分けは問われるのか
問われません。
IIBCのQ&Aは、複数のアクセントを使う目的は聞き分けの判定ではないと答えています。
使うのは、一般的に理解しやすいアクセントだとされています。
S&Wは発音が完璧でないと不利か
そうとは限りません。
IIBCは、文法の間違いや発音ミスなどは円滑なコミュニケーションの妨げにならない限り減点の対象にならない、と企業・団体向けのページで案内しています。
ただし音読問題では、発音とイントネーション・アクセントがそのまま評価基準になります。
TOEIC Bridgeでも発音は見られるのか
IIBCの『TOEIC Program DATA & ANALYSIS 2026』に載るTOEIC Bridge S&WのSpeakingのスコア別の説明にも、発音が出てきます。
| Speakingのスコア | 発音・イントネーション・アクセントにふれた説明の要旨 |
|---|---|
| 43〜50 | 発音、イントネーション、アクセントはおおむねわかりやすいが、聞き手に多少の努力が求められることがある |
| 37〜42 | イントネーション、アクセント、語彙の選択、文法構造のどこかに問題があり、時折聞き手の努力が求められる |
| 23〜36 | 発音、イントネーション、アクセント、語彙の選択、文法構造のどこかが原因で、聞き手の努力が求められる |
表は公式データから当サイトで作成しました。
15〜22のスコア帯の説明には、発音という語は出てきません。
TOEIC発音のまとめ
\公式の記述でもう一歩確かめる/
同じく公式の記述だけでまとめています
| 見るところ | 公式の資料に出ている内容 |
|---|---|
| L&Rのアクセント | 米国・英国・カナダ・オーストラリアおよびニュージーランドの4地域 |
| 始まった時期 | 2006年5月の第122回公開テストから |
| 国ごとの割合 | 公式には載っていない |
| 複数にする理由 | 学習背景による有利・不利をなくし、現実世界に近づけるため |
| S&Wの評価基準 | 音読問題から発音、イントネーション・アクセントを採点 |
| 公式認定証 | Speakingに発音とイントネーション・アクセントをHIGH・MEDIUM・LOWで表示 |
表は当サイトで作成しました。
割合は公式に載っていません。
L&Rは4地域の英語を聞き取る力、S&Wは相手に理解しやすく話す力として、発音が扱われています。
あわせて読みたい記事を置いておきます。
L&RとS&Wの出題形式の全体像はTOEICの出題形式の全体像にまとめました。↓
TOEIC Speakingの中身はTOEIC Speakingとは何かにまとめました。↓
以下はすべてIIBC公式サイトのページです。
Comments